リーガルマインド 2019 10 6

書名 法学部、ロースクール、司法研修所で学ぶ法律知識
著者 品川 皓亮  ダイヤモンド社

「家庭の医学」
 今は違うかもしれませんが、
昔は、どの家にも「家庭の医学」という分厚い本があったと思います。
 休日や夜に、急に熱が出たり、腹痛になったりしたときに備えて、
家庭に常備されていたのでしょう。
同じように、「家庭の法律」という本があってもよいでしょう。
 多くの人は、「法律書なんて、難しい。
普通に生きていれば、法律なんて関係ない」と思うでしょうが、
実は、日常生活に法律はあるのです。
 たとえば、月極駐車場で、よく見かける風景で、
「無断駐車を発見したら、10万円を申し受けます」という貼り紙です。
 はたして、10万円を請求できるか。
答えは、「ダメ」です。
その理由を考えるのが、リーガルマインドです。
 実は、法律の勉強と数学は似ています。
相手に「10万円を請求できる」ことは、
相手に対して「債権」があることを意味しています。
 さて、「債権」が発生する要件として、
民法は、4つあると規定しています。
契約、不法行為、事務管理、不当利得。
 どれかに該当しないと債権は発生しない、
つまり、相手に無断駐車の金銭を請求する権利は発生しないと考えるのです。
(リーガルマインド その1)
 無断駐車は、どれに該当するでしょうか。
「契約」とは、私と相手の「意思の合致」が必要です。
簡単に言えば、「買いたい」と「売ります」という意思の合致です。
 しかし、無断駐車というからには、
当然、「意思の合致」はないので、「契約」には該当しません。
 4つの要件の中で、債権発生の可能性が高いのは、「不法行為」でしょう。
常識で考えても、無断駐車は、「不法行為」と言えるでしょう。
だから、早合点して、「無断駐車→不法行為→債権発生→10万円請求?」となるか。
 間違いです。
たとえば、無断駐車は、何時間だったでしょうか。
もし、1時間程度だったら、10万円も請求できません。
 月極の駐車場代は、月1万円だったら、さすがに10万円も請求できません。
やはり、1時間に相当する金額が妥当と言えるでしょう。
(リーガルマインド その2)
 なんとなく、数学の文章問題に似ています。
数学問題を解くことと法律問題を解くことは似ているかもしれません。
そういうわけで、理科系でも司法試験合格の可能性はあります。
 もちろん、理科系の人が苦手な「暗記」が多いのですが、
理科系でも、暗記が多いでしょう。
 数学、物理は別として、
化学、生物は、うんざりするほど暗記があります。
 そういえば、理系には、「暗記の王様」があります。
それが、医学部です。
どう考えても、医学部は、理系の中の文系です。
医学部は、難しい数式は使わないでしょう。
そういうわけで、医学部は、司法試験に最短距離にあると言えます。
(注意)
 私は、法律の専門家ではありませんので、
法律的な問題は、専門家に相談してください。
 私は、理系的な思考でリーガルマインドを考えたら、
法律的思考と理系思考は、そんなに大差がないと思ったのです。
これからの時代は、理系の法律家が必要になると思います。


























































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